どちらの話も正しいです。手書きAI-OCRは「読める手書き」と「読めない手書き」がはっきり分かれます。先に結論を書きます。
読めるもの・読めないもの
- 枠のある注文書に、枠の中へ書かれた数字とカタカナ → 実用になります
- 品番のように、あらかじめ正解の一覧を持っている項目 → 実用になります(候補と突き合わせて補正できるため)
- 枠外の余白に走り書きされた指示、続け字、二重線での訂正 → 現状は苦手です
展示会の担当者が「無理だと思ってください」と言ったのは、おそらく「どんなFAXでも100%読める前提で導入すると失敗する」という意味で、誠実な説明だと思います。同業の社長ができているのは、たぶん全部を機械に任せていないからです。
設計の考え方:読み取り率ではなく「人が見る量」で決める
90%読めても、どの10%が間違っているか分からなければ、結局全部を目視することになり、時間は減りません。大事なのは、AIが「ここは自信がない」と申告してくれることです。確信度の低いセルだけ色を付けて、そこだけ人が見る。この形にすると、確認は1枚あたり10〜20秒で済みます。
実際の進め方(この順番をおすすめします)
- まず紙をやめる。複合機の設定で、受信FAXを印刷せずPDFで共有フォルダやメールに入れます。多くの機種で追加費用なしにできます。これだけでも「探す・回す・失くす」が消えます。
- 対象を上位3社に絞る。枚数を数えてみてください。たいてい上位3社で全体の6割前後になります。全社対応は後回しで構いません。
- 読み取る項目を3つに限定する。品番・数量・納期だけにします。備考欄まで狙うと、途端に精度が落ちて確認作業が増えます。
- 2週間、並行運転する。今までどおり手入力もしながら、AIの結果とどれだけ違うかを記録します。ここで実際の精度が分かります。
- 確認画面を作る。自信度の低い項目だけ色を変え、そこだけ人が直してから販売管理システムへ渡します。
費用の目安
- AI-OCRのサービス利用料:月額3,000円〜30,000円程度(読み取り枚数で変動)
- 帳票のレイアウト登録・初期設定:1帳票あたり数万円〜。得意先3社なら3帳票です
- 販売管理システムへの取り込み:CSVで取り込めるなら追加費用は小さく済みます。ここは先に自社のシステムが「CSV取込に対応しているか」を確認してください
いきなり数百万円の提案が出てきた場合は、上の3つのどこにいくらかかっているのかを分けて出してもらってください。
意外と効くのは、IT以外の手
得意先1社に「注文書の様式をこちらで用意させてください」とお願いするだけで、精度が大きく変わります。罫線と枠のある注文書に変えてもらえた1社だけで、読み取りの手間が半分になった会社もありました。値引きの交渉より通りやすい話です。
最初の目標
2時間がゼロになることはありません。上位3社・3項目から始めて、まず40〜50分まで落とすのが現実的な最初のゴールです。そこまで行けば、残りの得意先を足していく判断材料もそろいます。
